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2010/7/14 ベトナムうまいもの紀行(73)
▼ ベトナムうまいもの紀行(73)
★暑さを吹き飛ばすニガウリ
大野尚子(旅行ジャーナリスト・当センター顧問)
この夏のホーチミン市の市街地は、水道や電気などの工事のために道路の通行規制や埃の影響を覚悟しなければならないようです。

<ベンタイン市場> <ドンコイ通り>
「とにかく埃がいっぱい。その上、私の家の地域ではバスは通常通りだけれど、タクシーは規制で入れないの。不便よ。動けるのはバイクだけなの」とホーチミン市に住むベトナム人の友人は嘆いています。「もしこちらに来る予定があるなら年末まで延期した方がいいわよ」と付け加えました。
昨年の11月に訪れた時にも、街のいたるところで道路が掘り返されていました。電気工事につきものの停電は、なんと朝6時から夕方6時まで、それが週に2日から3日もあるそうなのです。
加えて今年は雨季が遅かったため水不足も深刻とか。市民は不便を強いられているようです。当分、この状態は続くことでしょう。ただし、停電は一般家庭のみ。自家発電が可能なレストランや商業施設などはその例ではありません。旅行者が停電の影響を受けることは、今はほとんど無いはずです。10数年前にはホテルでも停電があり、エアコンが止まって困ったことも度々でした。夜、アオザイの採寸中にも停電になり、真っ暗闇の店の中で1時間も待機したのも懐かしい思い出です。
蒸し暑いベトナムで、人々が最もよく食べる食材といえばニガウリ。沖縄の長寿を支える食材の一つでもあるニガウリは、ベトナムでも日常的に食されているのです。沖縄では「ゴーヤー」、ベトナム語では「コークァー」。発音がなんとなく似ています。ベトナムでも炒めもののほか、煮物や鍋ものにも使われます。苦味が食欲をそそり、暑さを吹き飛ばしてくれるのです。
ニガウリにはビタミンCが豊富で抗酸化作用があり、免疫機能を高める働きもあるといわれています。ビタミンCの含有量は野菜類では最高で、しかも加熱しても失われないという特徴をもっているそうなのです。特に、夏バテ防止や美肌効果は大で、β-カロテンとビタミンCとの相乗効果が紫外線への抵抗力を強めてくれるそうなのです。暑い地域や夏場に恰好の滋養食材といえるでしょう。
ベトナムでは何軒ものお宅で、コークァーの調理法を教わりました。以前も紹介したホーチミン郊外の友人のお母さんは、ニガウリに魚のすり身を詰めてヌクマムで味をつけた「コークァーのスープ煮」を作って歓迎してくれました。忘れられないベトナムの「おふくろの味」なのです。
ホーチミン市の友人は、ニガウリを3つに切ってワタと種を取り除き、中に、豚肉のミンチと水で戻して細かく切ったキクラゲと春雨を詰めていました。ニンニクのみじん切りも加え、塩、コショウで下味をつけておきます。
鍋に詰め物を終えたニガウリと水を入れてニガウリが柔らかくなるまで煮ます。沸騰後、弱火にして30分ほど。スープの味付けは塩と少しの砂糖。友人は使いませんが、ヌクマムを少し入れてみましょう。味にぐっと深みが加わります。
「冷蔵庫で3日はもちますから、お正月にはどこの家でもこれを作っておきます。3日間、調理の手間が省けるし、なにより、栄養がたっぷり」と友人。ゴーヤーのスープ煮はおせち料理でもあったのです。

<ベンタイン市場の野菜売り場> <ジャックフルーツとタンロン>
お鍋の具材としてもコークァーはよく見かけます。ホーチミン市はもちろん、メコンデルタの玄関ミトーでも、さらに南のカントーでも、ヌクマムの産地のファンティエットでも、中部の港町ダナンでもニガウリの入った鍋料理に出会いました。栄養もさることながら安い野菜なので家庭料理には欠かせないようです。暑い地域で食べると苦味が旨みに感じられるのです。
「一本だいたい300ドン(約20円)程度。安いでしょう。節約する時は、お肉を使わない炒めものにします」と友人。
スライスしたニガウリを炒めて卵を流し入れるだけ。調理時間も手間もかからないのでベトナムではどこの家庭の食卓にも頻繁に登場しています。ただし、苦味が苦手な子供のために、友人のところではスライスしたコークァーをさっと茹でて苦味を除いてから調理していました。日本で買うニガウリは苦味が弱くなっています。沖縄では「最近のゴーヤーは苦味が少なくて美味しくない」と嘆くお年寄りに出会いました。
最近では日本のどこででもニガウリは手に入りますし、ベランダで栽培している人もあるようです。暑さを元気に乗りきるために、暑い国の食卓の知恵を参考にしてはいかがでしょう。
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