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ISSN:2185-6362
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2010/8/10 ベトナムの淡水魚養殖
▼ ベトナムの淡水魚養殖
日本でよく見かけるベトナムの水産物は、まずエビ、次いでカニやイカなど、いずれも海産物が多いようです。しかし、伝統的に盛んなのは淡水魚の利用。南北のデルタをはじめ近くの川で取れる淡水魚が、人々の食膳を賑わせてきました。昔の集落は海から遠く、冷凍技術も発達していないことから、どうしても河川の淡水魚を利用することが多かったのでしょう。現在でも、外国の私たちから見るとビックリするほど、河川の養殖漁業が盛んなのです。
「これは大変。村が洪水で流される」と慌てるような光景が見られることがあります。別に村ごと水に流されているわけではありません。この写真はメコンデルタの村ではなく、南ベトナム東部のドンナイ省ディンクアン郡を流れるラ・ガ川の養殖集落ですが、似たような風景はメコン川流域でも見られます。村が一軒残らず淡水魚の養殖に携わっているところから、まるで村が洪水に押し流されているような印象を受けますが、ちゃんと定着した集落なのです。もちろんそれぞれの家には家族が生活し、家に備わった水槽には魚が生活しています。
それぞれの家はちょうど笩に乗ったような構造で、その床下、つまり笩の下に養殖のケージがぶら下がっています。笩は40平方メートル程度の大きさです。安定して浮力を保つように、金属やプラスティックの桶がくくり付けられています。
淡水漁業が盛んだと言いましたが、南と北では自然環境もことなり、生活も大きく違うため、捕れる魚類は大きな違いがあります。ベトナムの淡水漁業では、天然ものが毎年10万トン以内ですが、養殖ものは30万トン以上にもなります。淡水魚の養殖は、気温や風土の違いから南部のほうが盛んなのは無理もありません。
養殖されている魚は、シーズンによって、あるいは売れ行きによって変わります。どこへ行ってもコイ類が多いのですが、ナマズ、雷魚、ウナギ、それに南部の名物となっているカ・タイ・トゥオン(象の耳の魚)など。ティエンザン省ミートーの町で、この魚の料理を食べたことのある人も多いのではないでしょうか。
養殖中の魚はある程度大きくなると、種類や大きさによって仕分けされます。近所の人が総出でケージの中の魚を分類し、別々のケージに分けて餌なども細かく分け、効率的な養殖に励むことになります。
メコン川の悠々たる流れの中で成長した魚は、1メートルくらいにまで大きくなるのはザラです。種類によってはゆったりした環境で育てるのが向いているものもあり、写真に見るようにのんびりした風景がデルタの方々で見られることになります。
さて、魚といえば海の魚をまず思い出す日本人と異なり、世界の国では淡水魚を好む国が結構あります。数年前、アメリカ向けの輸出が急増したチャとかバサという種類の魚(ナマズの一種)が、アメリカ国内で養殖されているキャットフィッシュとよく似ているということで、アメリカ国内の養殖業者が「ベトナム産の魚に押されて売上が急減した」と、輸出入管理当局にダンピング提訴したことがありました。提訴の結果は何時の間にうやむやになったようですが、ベトナムの方でも少し集中的に輸出しすぎたと反省し、輸出先を中国やロシアに振り替えて輸出額を確保しているようです。ちなみに騒ぎが落ち着いた2006年1-4月の、この魚の輸出先を紹介しますと、EUが全体の半分近くの45.1%、次いでロシアが19.3%、アセアン諸国が10.6%、アメリカには4.2%と、ぐんと減っています。
最近は、ベトナム国内の輸出業者も各国の税関や検疫機関でストップということにならないよう、輸出食品の衛生面では随分気を使っています。またそのままの形では衛生管理がし難いため、切り身や揚げ物用に加工することが普通になっています。
近頃はどこの国でも食品衛生検査が厳しく、養殖に好都合という理由で抗生物質などが多用されるのですが、それらは摘発されるだけでなく、その後の輸出にも影響が出てきますから、厳密に基準を守らないわけにはいきません。
工場の中の様子を見ても、近代的工場のように衛生管理を厳しくしている様子がうかがえます。
水辺に船を浮かべて養殖農家を見物するのは、まことにのんびりして良いものです。しかし、養殖農家の方では、少しでも収入を増やし、生活を豊かにするために、よそ目には分からない努力を続けているのでしょう。
ベトナムの川は、日本と違って中程度の川でも流れがゆっくりしているのでいっそう豊かに感じられます。ましてメコンの流れにあっては、その豊かさはケタ外れと言えるかもしれません。
ベトナムの人たちは魚が好きです。代表的なベトナム料理には肉を使うことが多いので、意外に思われるかもしれませんが、一般の人はむしろ魚料理が家庭の食膳に上ることの方が多いと言います。
ベトナム旅行に行かれた時には、代表的なご馳走だけでなく、魚料理も大いに楽しんでほしいと思います。
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